中耳炎は、もっとも代表的な耳の疾患のうちのひとつです。ウイルスや菌が、耳と鼻を繋いでいる管に入り込んで起きるもので、特にお子さんに多い病気です。

この「中耳炎」には、「急性中耳炎」「慢性中耳炎」「滲出性中耳炎」の3つの種類があります。

● 耳が聞こえにくい

● 耳に痛みが出る

● 耳だれが生じる

急性中耳炎は、3歳以下のお子さんのうちの8割が罹患していると言われています。

なお、ウイルスや菌は外から入り込むものばかりではありません。むしろ、風邪などの内的な要因に起因する場合がほとんどです。風邪の病原菌が耳にも移り、そこで炎症を引き起こすことによって中耳炎になるケースが多いのです。

急性中耳炎を放置していた場合、「慢性中耳炎」と呼ばれる症状に進みます。鼓膜に穴が開くこともあり、耳だれが繰り返し起きる症状を指す言葉です。このような状況に至らないようにするために、早めに治療にあたる必要があります。特に、保育園などの場合は再発もしやすいので、異常があった段階で受診してください。

急性中耳炎の治療は、投薬治療が中心です。抗生剤と、鼻水をコントロールする薬を処方します。

完治までにかかる期間は最短で5日、長いと2週間程度かかることもあります。

基本的には手術は行いませんが、腫れや痛みが強く見られるときは、鼓膜に小さな穴をあけて膿を除去する手術が選択肢として挙がってきます。なお、鼓膜に空いた穴は数日程度できれいに塞がることがほとんどです。

● 難聴
● 耳のつまった感じ
● 耳鳴り
● 呼んでも振り向かない
● テレビの音を大きくする
● 大きな声でおしゃべりをする

滲出性中耳炎とは、浸出液（炎症などを原因として、細胞などからにじみ出た液体のこと）が鼓膜の奥にある部分に溜まってしまう病気をいいます。

液が耳に溜まっている状態であるため、「耳が詰まっている」「耳が聞こえにくい」「耳鳴り」などの症状が生じます。お子さんが、「普段よりもずっと大きな声でおしゃべりをする」「テレビの音量を上げる」などのような行動をとっていた場合は、この滲出性中耳炎が疑われます。

滲出性中耳炎の場合も、投薬を治療の基本とします。また、鼻の掃除を行うこともあります。鼻と耳はつながっていますから、鼻を掃除することで、滲出性中耳炎も改善していくのです。

改善の乏しいときは、鼓膜を切開したり、排液、換気のためのチューブを挿入したりします。

耳垢栓塞は、耳の聞こえが悪くなることや、圧迫感、耳閉感、かゆみなどの違和感がおこります。しかし、ほとんど自覚症状がなく、他の耳の病気の診断目的で受診した際に発覚することがあります。

栓塞している耳垢を綿棒や耳かきを使って自分で取ろうとすると、かえって押し込んでしまう場合がありますので、受診をお願いします。